髪の毛って生きているの??AGAでは何が死んでいるの?
髪の毛って生きているのでしょうか?
素朴な疑問です。
ヘアカットをしても痛くありません。
一度傷んでしまった髪の毛は元に戻りません。
そのため髪は先端になればなるほど傷んでいます。
実は髪の毛はすでに死んでいるのです。
これは当たり前といえば当たり前でもあり、凄いことだと言えば凄いことでもあります。
毛髪はなんとすでに死んでしまった細胞から出来ているのです。
死んだ状態でありながら髪の毛はいまだ頭皮を守り続けているのです。
今回は毛髪は角化によって作られている話とAGAでは何が死んでいるのかをテーマに駅前AGAクリニックの医師が解説します。
— 目次 —
- 毛髪は角化によって作られている。細胞は死にながら私達を守っている!?
- AGAで死んでいくもの
- パーマや毛染めはAGAを進行させるのか??
- AGA治療の本質とは??
- AGAを進行させる要因とは??
毛髪は角化によって作られている。細胞は死にながら私達を守っている!?
毛髪の根元には毛球という丸い構造があります。
この毛球の下には穴が開いており毛細血管が入ってきて丸まってから出て行きます。
この毛細血管の丸まりを毛乳頭といいます。
毛乳頭は毛髪を作ったり毛周期を作ったりする司令塔のような役割を担っています。
そして、毛乳頭を取り囲むように毛母細胞がいます。
毛母細胞は毛乳頭細胞の指令を受けて細胞分裂を繰り返し毛髪の元になる細胞となります。
その細胞は角化しながら皮膚に向かって伸びて行きます。
角化とは細胞としての活動が停止することです。
細胞としての活動が停止すると角化は完了しケラチン繊維で充満した死んだ細胞、つまり髪の毛になって行くのです。
毛髪で生きているのは毛球の部分に近い所までとなります。
それ以上ではほぼ角化が終わっているので細胞的には死んでいるということになります。
このように毛髪は角化という細胞の死によって作られているのです。
AGAで死んでいくもの
AGAで死んでいくものがあります。
AGAでは男性ホルモンの働きでヘアサイクルが短縮します。
これにより成長期が短くなり休止期毛が目立つようになります。
つまり皮膚が見えやすくなり薄毛になります。
この状態を放置していると毛髪を急いで作るために毛母細胞の分裂速度が速くなります。
その結果、毛母細胞に負担がかかり毛母細胞が死んでいくのです。
AGAはこのように毛母細胞を殺してしまう病気なのです。
ヘアサイクルの短縮だけがAGAの原因ではないのです。
毛母細胞の死がAGAを不可逆的なものにしてしまうのです。
パーマや毛染めはAGAを進行させるのか??
では、パーマや毛染めはAGAにどのように影響を与えるのでしょうか。
髪の毛はすでに死んでいますので、死んでいる毛髪に何をしても関係ないでしょう。
重要なのはまだ生きている毛母細胞にパーマ液や毛染めの薬液が与える影響を考える必要があるということです。
毛母細胞は毛乳頭といわれる毛細血管の周りにいます。
これは皮膚の中であり深部に位置しています。
パーマや毛染めの薬液がAGAに影響を与えるには頭皮の中にどれだけ薬液が浸潤するかにかかってくると思われます。
あまりに浸透性が高い状態で頭皮内部の毛母細胞に障害を与える薬剤であればAGAを進行させると思われますが、そのようなものは発がん性の問題からきっと使用されていないと思います。
なので現在のパーマ液や毛染めの薬液はAGAに影響を与えることはないはずだと思います。
これはあくまでも推測です。
本当に影響がないのかどうか正確なことは分かっていないというのが現状なのではないでしょうか。
AGA治療の本質とは??
AGAの治療は『毛母細胞』にかかっています。
『毛母細胞』をどれだけ温存し、『毛母細胞』をいかに働かせるか。
これがAGA治療の本質なのです。
頭部に残っていて頭部をいまだ守っている死んでしまった毛髪はすでに過去の存在なのです。
『毛母細胞』を温存するためにヘアサイクルを正常化する5αリダクターゼ阻害薬やスピロノラクトンを使います。
『毛母細胞』を刺激するためにミノキシジルを使います。
そして、治療成績は『毛母細胞』の数にかかってきます。
『毛母細胞』が生きている初期のAGAほど治療によく反応するのです。
AGAを進行させる要因とは??
『毛母細胞』に障害を与える行為はAGAを進行させます。
例えばタバコです。
喫煙は毛乳頭の血流を障害します。
これは『毛母細胞』を傷つける自虐行為なのです。
メタボリックシンドロームや心血管系の合併症とAGAは関連しています。
これも毛細血管と関係しています。
AGAに動脈硬化は天敵です。
魚中心の食生活をして良質な脂を摂取して適度な運動をするのがいいでしょう。
血圧が高いなら血圧を下げましょう。
死んでまで私たちの頭皮を守ろうとしている健気な髪の毛のために私達が今できることは何でしょうか。
今度は私達が恩返しする番かもしれませんね。
当院では男性の治療だけでなく女性の治療も行っております。
毛母細胞は男女共通ですので治療の根本的な部分は変わりません。