ニキビ治療薬で薄毛になる?薄毛治療との併用は可能?
ニキビは、AGAによる薄毛などと並び美容面でお悩みの方が少なくありません。
一般的な治療ではニキビがなかなか治らず、「イソトレチノイン」という特別な治療薬を使用する方がいらっしゃいます。
今回は「イソトレチノインを飲んでいる患者様が、薄毛治療を同時に受けることは可能か、飲み合わせなど注意点はあるか」といった点について駅前AGAクリニックの医師が解説します。
そもそも「イソトレチノイン」とは?
ニキビ治療の切り札と言われるイソトレチノイン。
このイソトレチノインは13-シスレチノイン酸とも呼ばれ、ビタミンAの仲間です。
しかしイソトレチノインを妊婦さんが飲んでしまうと赤ちゃんに奇形を誘発する催奇形性(胎児毒性)があるとされており、極めて厳重な注意が必要です。
一方でなかなか治らないニキビ(難治性の尋常性ざ瘡)に悩まされている患者様にイソトレチノインを処方する先生もいらっしゃいます。
一部の先生はレチノイン酸療法と呼んでいるようです。
どの薬がイソトレチノインを含んでいるの?
イソトレチノインはいろいろな商品名で呼ばれることがあります。
日本の厚生労働省が把握しているだけでも
- アキュテインACCUTANE®
- ロアキュテインROACCUTANE®
- ソトレットSOTRET®
- アムネスティームAMNESTEEM®
- クララビスCLARAVIS®
- イソトロインISOTROIN®
- アクノティンACNOTIN®
のようにたくさんの商品名が挙げられています。
(イソトレチノインに関する厚生労働省の警告はこちらをクリック)
なおアブソリカABSORICA®などもイソトレチノイン製剤ですが上記リストには載っていません。
厚生労働省は把握しきれていないのかリストアップしきれていないのかですが、使用する際には注意が必要です。
どんなときにイソトレチノインを使うの?
イソトレチノインは、重症の難治性のニキビにのみ使用されます。
日本では未承認医薬品であり自由診療のみです。
妊娠中にイソトレチノインを少量・短期間内服しただけでも、赤ちゃん(胎児)に「生命を脅かす先天異常」が発生する危険性がかなり高くなると考えられています。
そして飲んでしまった場合、実際に赤ちゃんが生まれてみるまで、異常があるかないかを診断したり予測したりすることは困難です。
イソトレチノインの副作用は?
米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の認定するPDR(Physician’s Desk Reference)によると
(原文は英語ですが日本語訳します)
多形紅斑・スティーブンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死融解症・胎児死亡・自然流産・催奇形性・アナフィラクトイド反応・血管炎・糸球体腎炎・膵炎・横紋筋融解症・骨端線閉鎖・骨折・無顆粒球症・腸閉塞・食道潰瘍・脳卒中・網膜出血・痙攣・頭蓋内圧亢進・自殺念慮・夜盲症・角膜炎・視神経炎・視覚障害・角膜混濁・難聴・タンパク尿・気管支痙攣・高トリグリセリド血症・肝酵素上昇・高コレステロール血症・創傷治癒障害・血腫・接触性皮膚炎・紅斑・糖尿病・高血糖・胸痛・骨減少症・骨増殖症・骨粗鬆症・好中球減少症・血小板増多症・血小板減少症・貧血・炎症性腸疾患・食道炎・大腸炎・便秘・肝炎・偽脳腫瘍・うつ病・幻覚・多幸感・精神病・結膜炎・霧視・羞明・結膜充血・白内障・血尿・膿尿・インポテンス(勃起不全;ED)・動悸・洞性頻脈・高尿酸血症・浮腫・リンパ節腫脹・軽度・背部痛・関節痛・筋骨格痛・口唇炎・多毛症・皮膚の色素沈着・発疹・光線過敏症・掻痒・乾燥症・脱毛症・多汗症・ざ瘡様発疹・蕁麻疹・潮紅・皮膚の色素減少・脂漏症・紫斑病・筋肉痛・下痢・嘔吐・歯肉炎・体重減少・腹痛・吐き気・脱力感・不眠症・頭痛・知覚異常・倦怠感・無気力・めまい・眠気・疲労・失神・不安・情緒不安定・眼そう痒・眼乾燥症・眼刺激・流涙
と非常に多くの副作用が記載されています。
この中をよく見ると、脱毛症という記載があります。
イソトレチノインによる脱毛症は薬剤誘発性の脱毛症ということになりますから、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)などとは異なるメカニズムの脱毛症と考えられます。
したがって治療薬もデュタステリドやフィナステリド等のホルモン治療では通用しない可能性もあります。
メソセラピー発毛療法などの成長因子を使用した治療も考慮される状況です。
イソトレチノインの薄毛治療薬の飲み合わせは?
薄毛治療薬との飲み合わせが気になる方も多いと思います。
デュタステリドやフィナステリドやスピロノラクトンといった男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)の治療薬は、イソトレチノインとの飲み合わせをしても問題ありません。
またミノキシジル製剤も、メソセラピーなどの成長因子を使用した治療も、問題ありません。
タダラフィル(シアリス)やシルデナフィル(バイアグラ)といったED治療薬も併用可能です。
注意点として、円形脱毛症で使用される飲み薬や点滴などでステロイドを全身投与する場合はイソトレチノインとの相互作用が問題になります。
具体的には骨粗鬆症を引き起こす可能性があるとされます。
ただし当院ではステロイドの全身投与は行っていませんので当院では心配いりません。
イソトレチノインを飲んでいて薄毛になっている場合は?
イソトレチノインを内服中の患者様が薄毛に悩まれている場合は、薄毛の原因によって治療法を分けていく必要があります。
駅前AGAクリニックの医師として、私は以下のように提言いたします。
イソトレチノインが原因で薄毛になっている場合
男性ホルモンが原因ではないので、デュタステリドやフィナステリドやスピロノラクトンは必ずしも有用ではありません。
それよりはメソセラピー発毛療法やミノキシジルやオリジナルサプリメントといった、ホルモン治療に頼らない治療法を選びましょう。
イソトレチノイン以外の原因が別にあって薄毛になっている場合
ほとんどのケースで男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)が主たる原因として隠れていると思われます。
当院でも紹介している男性ホルモン拮抗治療と、それ以外の治療(メソセラピー発毛療法やミノキシジルやオリジナルサプリメント)を複数選びましょう。
なお実際に何が薄毛の原因なのかを見極めるのはかなり難しいことも現実的には多いと思います。
ご心配な方や、お心あたりのある方は、専門性を考えて当院のような毛髪専門のクリニックか、皮膚科等を選んで受診しましょう。
まとめ
イソトレチノインによるニキビ治療と、薄毛治療の関係性についてご説明いたしました。
ニキビ治療も薄毛治療も両方とも大切な美容治療ですから、簡単に片方を諦めることは難しいと思います。
その場合は治療を併用(同時並行)していくことになりますが、その際の注意点は今お話したようなことを考えて行わねばなりません。
我々 駅前AGAクリニックでは、薄毛のお悩みを総合的に扱っております。
当クリニックでは、本気で薄毛を克服したいと希望されている患者様に、医学的な根拠を持って、医師が治療に当たって参ります。
お悩みの方は、まずは駅前AGAクリニックにご連絡ください。