AGAの治療中でも妊活して大丈夫?安全な方法はあるの??
AGAの治療のメインとなる薬剤はフィナステリドやデュタステリドです。
これらの薬はDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンを減らす作用があります。
女性がこれらの薬剤を内服して妊娠した場合は胎児に影響すると考えられます。
このような薬剤を男性が飲み続けながら妊活をしてもよいのでしょうか。
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妊活中の男性はそもそも薬剤を使ってもよいの?
胎児への影響があることが多いことから女性は薬剤を避けることが多いです。
特に妊娠4週から7週までを器官形成期といい、奇形を引き起こしやすいタイミングとされています。
一方、男性の場合は薬剤の影響はほとんどないと言われています。
薬剤によって男性の精子に影響があった場合は、妊娠が成立しないからです。
もともと精液中の精子の20%程度は奇形です。
そのような精子は受精する能力がありません。
また、万が一受精したとしても、うまく着床しなかったり流れてしまうことで奇形の赤ちゃんが生まれてくることはないと考えられています。
デュタステリドは精子に影響するの!?
では、デュタステリドは本当に安全なのでしょうか。
実はデュタステリドは精子に影響することが分かっています。
臨床試験のデータを引用すると精子濃度と精子形態には変化がないものの、
総精子数、精液量、精子運動率は23%、26%、18%ずつ減少するというのです。
つまり、正常な精子が減ってしまうのです。
なんだか不安なデータですよね。
しかし、この程度の影響であるなら通常は無視できるのです。
臨床的に影響が出るとされるのは30%以上の変化です。
そのため、受胎能に影響はないと考えられます。
以上の理由から、妊活中でもそのままデュタステリドを飲みながらAGAの治療を続けて行う患者さんが多いのです。
どの薬剤もそうなのですが、薬剤が妊活において100%安全だという臨床データはないのです。
デュタステリドが絶対に安全だとは医師としては言い切ることはできません。
かなり安全だとは考えていますが。
この辺りはどう捉えるのかは患者さんの考え方によると思います。
私個人のお話ですと、私はデュタステリドを内服しながら妊活を行いました。
不妊治療中でもAGAの治療はできますか?
AGAの発症は30代に多いです。
この年代になるとEDの発症率も上がってきます。
そして、同時に不妊治療を行う患者さんも増えてくるのです。
色々と気になるお年頃なのですが、クリニックに来院された方で不妊の悩みもあるという人が非常に多いです。
不妊でまず気を付けることはEDです。
デュタステリドやフィナステリドの副作用に性的欲求の減少やEDがあるのです。
決して頻度が多いわけではありませんが、AGAの治療中に副作用が起きている可能性がありますから鑑別すべき内容となります。
EDに気をつける
ここをクリアできた場合は不妊の原因として男性不妊も鑑別しなければなりません。
不妊の原因の半数近くは男性にも要因があると言われています。
意外と多いのですね。
デュタステリドですが、通常では受胎能は問題にならないとされていますが男性不妊となると話は別です。
この場合は少しでも正常な精子が必要だったりします。
このような場合はデュタステリドでのAGA治療は適さないでしょう。
男性不妊の場合はデュタステリドは使えない
デュタステリドが使えない場合はAGAメソセラピー療法を定期的に施術する方法があります。
これをメソセラピー維持療法といいます。
成長因子などの入った薬液を頭皮から毛母細胞に届けるのです。
この治療方法は薬液の体内移行がほとんどないので安全にAGAの治療を行うことができます。
施術頻度は1ヵ月~2カ月に1回程度のイメージです。
AGAは毛母細胞が病的に減少する病気です。
妊活中でも容赦なく毛母細胞は減って行きますから、メソセラピー維持療法で進行を抑えることが大切なのです。
デュタステリドに代わる治療・・・メソセラピー維持療法
無事に妊活に成功したらすぐにフィナステリドやデュタステリドを再開することが大切です。
AGAの治療でもっとも効果的なのはデュタステリドです。
毛母細胞は一度死滅すると生き返ることはありません。
ボールペンのインクのような消耗品と同じだと考えてください。
大切に長持ちさせていくことが大切なのです。
妊活に成功したらデュタステリド再開
ミノキシジルは発毛薬としては最高の作用があります。
しかし、実はAGAの進行を抑える作用は弱いのです。
ミノキシジルを上手く使うと妊活中でも毛量を増やすことができます。
ただ、毛母細胞の保護作用は少ないので気をつけましょう。
ミノキシジルのみで治療していると薄毛になっていく