最悪のタイプ!!全頭型と汎発型の円形脱毛症の予後について
『全頭型円形脱毛症』と『汎発型円形脱毛症』とは??
円形脱毛症には実は色々なタイプがあります。
そしてそのタイプによって予後や治療方法が変わるのです。
『全頭型円形脱毛症』とは頭髪が全て抜けてしまうタイプの円形脱毛症です。
『汎発型円形脱毛症』とは頭髪だけでなく、眉毛やまつげ、わきの毛など、全身のありとあらゆる毛が抜けてしまうタイプの円形脱毛症です。
『全頭型円形脱毛症』と『汎発型円形脱毛症』の予後は非常に悪い事で知られています。
円形脱毛症の数々のタイプの中で最も恐れられているものなのです。
従来、円形脱毛症の予後はそれほど悪くないと思われていました。
多くは単発型であり無治療でも治るのがほとんどだと誤解されてきたのです。
しかし、円形脱毛症の1/3は1年以上継続する『慢性型円形脱毛症』に移行します。
『慢性型円形脱毛症』の30%は『全頭型円形脱毛症』に移行し、15%は『汎発型円形脱毛症』に移行します。
このように円形脱毛症の予後は意外に悪いということが最近分ってきました。
そして、『全頭型円形脱毛症』や『汎発型円形脱毛症』に移行すると自然に治癒することはほとんどなくなってしまうのです。
しかし、医療は日々進歩しています。
現代においても未だに『全頭型円形脱毛症』と『汎発型円形脱毛症』は不治の病なのでしょうか。
今回は最悪の円形脱毛症の予後について駅前AGAクリニックの医師が解説します。
— ポイント —
円形脱毛症の1/3は1年以上継続する『慢性型円形脱毛症』に移行する。
『慢性型円形脱毛症』の30%は『全頭型円形脱毛症』に移行し、15%は『汎発型円形脱毛症』に移行する。
『全頭型円形脱毛症』や『汎発型円形脱毛症』の自然治癒率は10%以下である。
『全頭型円形脱毛症』『汎発型円形脱毛症』の予後を紐解く
日本で治療を行う場合は基本的には『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版』に準拠する事になると思います。
このガイドラインは信頼性が高く数多くのエビデンスに裏付けられています。
そこでは恐ろしいことに『全頭型や汎発型へ移行した場合には 回復率は10%以下と考えられている。』とあります。
これはかなり絶望的な治癒率である事が分かります。
これが2017年の日本の最新のガイドラインです。
ガイドラインとは標準的治療を行う為の道標のようなものです。
その世界の権威である多くの医師たちが導いたガイドラインからの結論は全頭型や汎発型へ移行した場合には 回復率は10%以下という事です。
『British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of alopecia areata 2012』
ガイドラインのその部位には注釈があり上の文献を示しています。
つまり、これが根拠になっているという事です。
ではその根拠となるイギリスの円形脱毛症のガイドラインを読んでみましょう。
同じくイギリスのガイドラインの予後の項目を見てみますと以下の文献を参考に作られた事が分かります。
『Ikeda T. A new classification of alopecia areata. Dermatologica 1965; 131:421–45. 』
『Walker SA, Rothman S. Alopecia areata: a statistical study and consideration of endocrine influences. J Invest Dermatol 1950; 14:403–13. 』
『Gip L, Lodin A, Molin L. Alopecia areata. A follow-up investigation of outpatient material. Acta Derm Venereol 1969; 49:180–8. 』
『Tosti A, Bellavista S, Iorizzo M. Alopecia areata: a long term follow-up study of 191 patients. J Am Acad Dermatol 2006; 55:438–41.』
最初の文献ですが、なんと日本人の池田先生が1965年に書いた論文です。
1965年の日本人の研究がいまだに世界に影響を与え続けていることに感動します。
池田先生の功績は非常に大きく今後のガイドラインにも度々登場すると思われます。
しかし、その次の二つの文献を見てみると1950年と1969年とあります。
最後の文献も2006年に発表されたものです
全体的にかなり古い事が分かります。
つまり円形脱毛症に関して医療の発展があまりなかったという事です。
その後、円形脱毛症には免疫細胞のTリンパ球が関わっていることが分かって来ました。
治療方法もSADBE やDPCP等の局所免疫療法が注目を浴び経過も変わって来ています。
これらの進展を踏まえて実際は予後も変わって来ていると思われます。
円形脱毛症の予後の変化とは??局所免疫療法がもたらした革命!
では最近の円形脱毛症の全頭型と汎発型の予後はどう変化して来ているのでしょうか。
2017年にYong Hyun JangらがDermatology に以下の研究結果を発表しました。
『Long-Term Prognosis of Alopecia Totalis and Alopecia Universalis: A Longitudinal Study with More than 10 Years of Follow-Up: Better than Reported』
1994 ~2005年に全頭型と汎発型の円形脱毛症だった患者さん70人のその後の経過を調べたものです。
韓国の研究で国民の栄養状態や治療方法も洗練されているので現代における全頭型と汎発型の予後が分かる貴重なデータとなっております。
そこでは全頭型の治癒率は20.8%、汎発型の治癒率は15.2%となりました。
嬉しい事に日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインの10%以下より治癒率が高い事が分かります。
SADBEやDPCP等の局所免疫療法が行われるようになり積極的に治療することで最悪の円形脱毛症とされる全頭型円形脱毛症や汎発型円形脱毛症の予後が改善してきているということなのです。
円形脱毛症の医療も進歩していたのです。
それでも難治性である全頭型や汎発型の円形脱毛症に対するDPCPの成功率は全体として17.4%と言われています。
まだまだ改善の余地が多い領域である事には変わりありません。
— ポイント —
医学の進歩により円形脱毛症の予後に変化が表れている。
無治療では治癒率は10%以下だった。
『全頭型円形脱毛症』の治癒率は20.8%まで改善している。
『汎発型円形脱毛症』の治癒率は15.2%まで改善している。
円形脱毛症に真摯に向き合うクリニック
当院では円形脱毛症に対して世界に先駆けて最新のメソセラピー局所免疫療法を導入しております。
これは従来の局所免疫療法の取って代わる可能性を秘めた新しい治療方法です。
治療成功率はかなりのものと自負しております。
現在のところほぼすべての患者様に改善いただいています。
これは局所免疫療法を超える可能性があり円形脱毛症の治療に革命を引き起こすと考えられます。
従来のSADBEやDPCP等の局所免疫療法の様にダウンタイムもありませんし痒み等の合併症もありません。
感作させてかぶれさせる必要もない為、アトピー性皮膚炎があっても施術可能です。
症状の出ている部分のみの治療でなく頭皮全体をカバーする事が可能なので、脱毛症の部位が変わってしまい治療場所も変わるといったイタチごっこの様になりにくいという特徴があります。
大学病院でも治療不可能な円形脱毛症やDPCP無効の円形脱毛症にも積極的に治療を行っております。
また、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性の薄毛で最も多い女性型脱毛症)の治療も同時に行うことも出来ますのでご相談頂ければと思います。
駅前AGAクリニックでは全国4院、東京新宿、大阪梅田、京都烏丸、岡山のすべてのクリニックで一貫した最新の薄毛治療を行っております。
円形脱毛症の領域に関しても日々医療レベルを上げるように最先端で努力しております。
是非、難治性で諦めていた患者さんにもご来院頂ければと思います。
【多発融合型円形脱毛症にメソセラピー局所免疫療法を行った症例】
初診時と半年後の状態です。