円形脱毛症のステロイド全身療法は危ない!!副作用の大腿骨頭壊死症について
円形脱毛症には色々なタイプがあります。
その中でも汎発型円形脱毛症や全頭型円形脱毛症は最悪のタイプです。
これを治そうとすると副作用が出るかもしれないステロイドを使った強い治療になってしまいます。
今回はステロイドの全身療法の副作用が出てしまった症例について駅前AGAクリニックの医師が解説します。
— 目次 —
- 円形脱毛症で一番大切なこと
- 円形脱毛症の効果的な治療方法とは??
- 最強の治療、ステロイド全身療法とメソセラピー局所免疫療法
- ステロイド全身療法で両側大腿骨頭壊死症を発症した症例
円形脱毛症で一番大切なこと・・・
円形脱毛症の治療方法は色々あります。
しかし、決定的に効果的な治療方法はありません。
円形脱毛症の治療で一番大切なことは早期に治療介入することです。
最近、早期に治療を始めることで重症化を防げることが分かってきました。
重症化してしまうと治療は非常に難しくなってしまうのです。
早期の治療、これが円形脱毛症の治療で一番大切なことです
円形脱毛症の予後は一般的に思われているより悪いです。
多くの人が円形脱毛症は治療しなくても治ると思っています。
確かに自然に治る円形脱毛症も多くありますが、治らない円形脱毛症も多いのです。
円形脱毛症の1/3は1年以上続く慢性型になります。
その慢性型の45%は難治性に移行します。
これを見て予後がいいとは言えないと思います。
円形脱毛症の効果的な治療方法とは??
2017年に日本皮膚科学会が『円形脱毛症診療ガイドライン』を作成しています。
ここで行うように勧めている治療はたった4つの方法だけです。
① ステロイド局所注射療法
② 局所免疫療法
③ ステロイド外用療法
④ かつらの使用
最後のかつらは治療を諦めるという最終手段です。
実質は円形脱毛症を治すには3つの治療方法しかないのです。
これらの治療をいかに早く開始するかが運命の分かれ道となります。
それでも重症化してしまった場合はステロイドの全身療法かかつらの選択をすることになります。
最強の治療法。ステロイド全身療法とメソセラピー局所免疫療法。
円形脱毛症の最強の治療方法がステロイド全身療法です。
これにはステロイド内服療法や静脈注射によるステロイドパルス療法があります。
治療効果も最大ですが、副作用も大きく難しい治療方法です。
そのため日本皮膚科学会のガイドラインでは行ってもよいという比較的弱い位置づけにあります。
治療に失敗した場合は非常にストレスな結果となってしまいます。
無理をせずにかつらの使用を推奨しているのが学会の最近の姿勢です。
駅前AGAクリニックでもその点に関しては学会の姿勢に賛同しています。
当クリニックではステロイド全身療法は行っておりません。
必要であれば大学病院等でステロイド全身療法の経験の多い先生にお願いすることになります。
駅前AGAクリニックではガイドラインにない新しい治療方法のメソセラピー局所免疫療法を行っております。
これは従来の治療で治せなかった円形脱毛症にも効果があります。
ステロイド全身療法とも勝負できる治療方法だと自負しております。
副作用がほとんどがないのも特徴です。
実際にステロイドパルス療法で効果がなかった患者さんの治療も行って良好な成績を上げております。
最強の治療としてステロイド全身療法よりも安全性の高い最強の治療であるメソセラピー局所免疫療法を優先すべきと認識しております。
次にご紹介するのはステロイド全身療法の副作用の具体例です。
ステロイド全身療法で両側大腿骨頭壊死症を発症した症例
『Bilateral osteonecrosis of the femoral head associated with corticosteroid therapy for alopecia areata: a case report and review of the literature』
2018年8月にTherapeutics and Clinical Risk Management でYutaka Kuroda 先生が発表された症例報告です。
この報告は円形脱毛症に対してのステロイド全身投与の危険性を警告しているものです。
全ての症例で合併症が起きるというわけではありません。
慣れない医師が安易に行うべき治療ではないと理解していただければと思います。
また、ステロイド内服療法や静脈注射によるステロイドパルス療法を否定しているものでもありません。
ステロイド全身療法が劇的に効くこともあるからです。
汎発型円形脱毛症とは・・・
汎発型円形脱毛症は円形脱毛症の最悪の型です。
全身の毛包が免疫に攻撃されている状態で頭髪だけでなく眉や体毛などの毛も抜けてしまいます。
自然治癒率は10%以下であり、回復は困難な状況です。
通常の治療では治癒は難しいと考えられます。
23歳女性、治療抵抗性の汎発型円形脱毛症に対してステロイド全身療法
2010年末に23歳女性が円形脱毛症を発症しました。
アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー等の既往のないパッチタイプ(単発型や多発型円形脱毛症)の円形脱毛症でした。
外用のステロイド治療やセファランチンの内服治療を行うも円形脱毛症が広がっていくため2011年1月~2月にステロイドの皮下注(トリアムシノロンアセトニド40mg)を週5回というハイペースで5週間施行しています。
2012年6月に大学病院で局所免疫療法(SADBE)、紫外線療法、ステロイドパルス療法を行っています。
その後、プレドニゾロン内服治療に切り替わり円形脱毛症が完治しました。
しかし、2016年2月に自転車で転倒後に右足の付け根の痛みを自覚します。
その後、両側の大腿骨頭壊死症と判明し、右側に対して人工股関節置換術、左側に対して関節温存術を施行し杖歩行が出来るようになりました。
今回の関節温存手術は特殊な手術でcore decompression、autologous bone graftという珍しい術式です。
円形脱毛症はなんとか治りましたが歩行障害という重大な後遺症を残してしまったのです。
下の図は治療内容を時系列に並べています。
ステロイドパルス療法とステロイド内服療法が円形脱毛症に効果的だったと考えられますが、全身に作用した結果、副作用が出てしまいました。
両側大腿骨頭壊死症の術前と術後のX線写真
大腿骨の付け根の丸い部分が大腿骨頭です。
術前のレントゲンで壊死して変形していることが分かります。
術後は金属で出来た大腿骨頭を入れています。
また、人工の大腿骨頭を受ける皿の様なパーツを骨盤側に入れてネジで固定しています。
このように股関節を人工のものに入れ替える手術を人工股関節置換術と言います。
また、これ以上の変形を予防するために反対側の大腿骨頭も特殊な温存手術をしています。
今回はこの温存術が効果的であり片側のみの人工股関節置換術としています。
しかし、年齢が若いため今後も再手術が必要になる可能性が高いと思われます。
大腿骨頭壊死症の早期発見には痛みを自覚していない段階でのMRIが有効だということです。
これは非常に難しい治療方法だと改めて実感できます。
この患者さんの場合はステロイドの全身投与を行わなければ良かったという結末になってしまいました。
ステロイド全身療法を行うのであれば、その前に副作用のないメソセラピー局所免疫療法のご検討をしていただければと思います。
自費診療の最先端の治療ですので、保険診療よりも高くなってしまいます。
それでも副作用がなくなることとその高い効果を考えると現実的な選択肢だと感じて頂けると思います。
駅前AGAクリニックでは全国4院、東京新宿、大阪梅田、京都烏丸、岡山のすべてのクリニックで一貫した最新の薄毛治療を行っております。
円形脱毛症に関しても軽症から重症まで様々な症例に対応しております。