透析していてもAGAの治療はできますか?副作用が危険で治療はお断りされますか?
透析は腎機能障害の患者さんの腎機能を補うためにおこなわれます。
腎臓は人体に不要な毒素などを排泄する役割があります。
現在の透析の多くは血液を体外に取り出して濾過膜に通し、体内に戻すことでこれを行っています。
なぜ腎機能が障害されたのか原因となる疾患も様々です。
最も多いのは糖尿病ですが、自己免疫疾患や血管性の腎機能障害などもあります。
フィナステリドやデュタステリドの役割とは・・・
AGAの原因はDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンです。
このホルモンはヘアサイクルに働きかけて、毛髪の成長期を短くします。
毛髪が細くなったり、数が減ってしまうのはこのホルモンが原因です。
AGAには大きな特徴があります。
それは進行性ということです。
AGAは放置していると徐々に悪化してくるのです。
これはヘアサイクルが短くなることで、発毛に関与している細胞に負担がかかり、その細胞の寿命を早めてしまうからです。
そのためフィナステリドやデュタステリドなど5αリダクターゼ阻害薬という薬剤が必要になるのです。
5αリダクターゼ阻害薬はDHTの生成を阻害します。
精巣で作られたテストステロンは毛根部に存在している5αリダクターゼによって、DHTに変換されます。
5αリダクターゼ阻害薬はこの5αリダクターゼ阻害薬という酵素を阻害してDHTの生成を邪魔しているのです。
フィナステリドやデュタステリドは腎機能によってどのように影響を受けるのでしょうか?
薬剤の多くは肝臓や腎臓で代謝されたり排泄されます。
フィナステリドやデュタステリドは実は腎機能の影響を受けない薬剤なのです。
そのため、腎機能障害があっても安全に内服することが出来ます。
透析の影響はどうなのでしょうか?
透析は薬剤の分子量やタンパク質との結合などの影響を受けますが、フィナステリドやデュタステリドは透析膜でろ過されることはありません。
そのため、通常の患者さまと同じように治療を行うことができます。
ミノキシジルの内服はできるの?
ミノキシジルは腎機能の影響をかなり受けてしまう薬剤です。
つまり腎機能が低下していると薬剤が排泄されずに効きすぎてしまうのです。
ミノキシジルが効きすぎると浮腫みや不整脈、心負荷など問題になることがあります。
透析患者さまは不整脈が起こりやすいので、危険になる可能性もあります。
AGAの治療にミノキシジルを使用するのであれば内服薬ではなく、外用薬程度に抑えておいた方が良いでしょう。
AGA専門クリニックではミノキシジル内服薬の人気が非常に高いです。
ミノキシジルは発毛作用が強いからです。
しかし、透析患者さまでは以上の理由からミノキシジルの内服薬は諦めることをお勧めします。
ミノキシジル内服薬に代わる治療方法はないの?
実は透析患者さまでも安全に行えるメソセラピー療法というものがあります。
AGAの基本的な治療はフィナステリドやデュタステリドですが、これにメソセラピー療法を合わせることで治療効果がかなり高くなります。
メソセラピー療法というのは成長因子というタンパク質製剤を皮下注射する方法です。
この方法では体内の薬物濃度が上がることがなく安全に治療出来ることが分かっています。
このメソセラピー療法ですが、治療初期におこなうやり方と治療経過中におこなうやり方では施術間隔が違います。
この辺りはコツがありますので、ご相談ください。
透析患者さまのAGAの治療方法の選択肢は?
フィナステリドやデュタステリド
ミノキシジル外用薬
発毛サプリメント
AGAメソセラピー療法
このような治療方法が考えられますが、個々の症例によって考えるべきことが多くあります。
現在の持病の情報や採血結果を持参してクリニックにいらして頂ければ、より正確な処方が可能となります。
AGAの治療は処方して終わりではありません。
副作用が出ていないか、適正な治療なのかなどチェックする必要があります。
そのため患者さまの全身状態の把握や薬物動態などを理解しておく必要があるのです。
駅前AGAクリニックは正確な診断と正確な処方を心掛けております。
他院で治療できない難易度の高い症例も真面目に治療しております。
参考記事:『腎機能が低下していてもAGAの治療って出来るの?』(執筆医師 四日市院院長 長谷川誠)