AGA治療薬フィナステリドで精液に血が!!副作用の『血精液症』って何?

厚生労働省 医薬・生活衛生局 監修のDrug Safety Updateの2018年12月号でフィナステリド(MSDのプロペシア含む)の添付文書の改訂が行われた報告がクリニックに届きました。

どのような経緯で添付文書の改訂が行われたのでしょうか。

今回追加された副作用の血精液症ってなんでしょうか。

どのように対応すればいいのでしょうか。

フィナステリドはやはり危険なのでしょうか。

このままではみなさんも不安になってしまいますね。

早速いつものように駅前AGAクリニックの医師が新しく追加された『フィナステリドの副作用の血精液症』について解説しましょう。

その他のフィナステリドの副作用については以前の記事で詳しく解説しています。

— 目次 —

  • 血精液症とは??
  • 副作用の報告はどのようなものだったのでしょうか。— 症例報告 —
  • フィナステリドが本当に血精液症の原因だったのか??
  • フィナステリドでどうして血精液症が起きたの??その機序は?
  • 血精液症の治療にフィナステリドが使われることもあるのに!!
  • 私達はどうすればいいのでしょうか?— 駅前AGAクリニックの対応 —

血精液症とは??

血精液症とは精液に血が混じる病状です。

痛みなどの患者さんが自覚できる症状はほとんどない場合が多く偶然的に発見されます。

精液の色はピンク色から茶褐色まで血液の量と鮮度により変わります。

精嚢腺や前立腺に原因がある場合があり炎症や感染症、奇形などがきっかけとなることがあります。

精液中に細菌がいないか培養したり画像診断で検査を行います。

多くの場合は自然軽快しますが、場合により止血剤や抗生剤を使用します。

下で解説するように最近ではフィナステリドが治療薬として使われることもあります。

副作用の報告はどのようなものだったのでしょうか。— 症例報告 —

『Hematuria and Hematospermia Associated with the Use of Finasteride for the Treatment of Androgenic Alopecia: A Case Report』

(AGA治療として使われたフィナステリドによる血尿と血精液症の症例報告)

これは2017年8月に公開され12月にDrug Safety Case Reportに掲載されているAbdel-Motaal M. Fouda達の症例報告が元となっています。

著者はエジプトのMansoura Universityの医師のようです。

患者さんもエジプトの方だと推測されます。

38歳の健常男性がAGAの治療のためにクリニックでプロペシア1mg/日を処方されました。

2週間ほどプロペシアを内服しましたが血尿と血精液症を発症してしまい、そのクリニックの医師に相談しています。

そこで一旦プロペシアを中止して経過を見ることにして治療を中断します。

クリニックの医師は薬剤の副作用の可能性も考えたのでしょう。

しかし、この時点ではフィナステリドにこのような報告はなく積極的に副作用を疑う状況ではなかったと考えれられます。

内服中断から2週間後にこの患者さんはやはりAGAが心配になり残っていたプロペシアを自己判断で再開しました。

そして再度、血尿と血精子症に悩まされ治療開始から3か月後に著者のMansoura Universityの病院を受診しています。

そこでプロペシアの内服を止めたところ血尿と血精子症は48時間以内に完全に軽快したのです。

精密検査で異常はないため病歴からフィナステリドの副作用が疑われました。

著者達は血液が出なくなってから3週間後にフィナステリドが本当に原因なのかチャレンジテストを行ったところ3日後に同様の症状が出現しました。

これでフィナステリドが原因だと確信したようです。

その後AGA治療としてのフィナステリドは諦めて一年間は患者さんに同様の症状が出ないことも確認しています。

著者は血尿と血精子症はフィナステリドが原因だったと考えるべきだと主張しています。

フィナステリドが本当に血精液症の原因だったのか??

フィナステリドが原因で血精液症が起きたのでしょうか。

この報告だけでは事実は分かりません。

フィナステリドは長らく非常に多くの患者さんにAGAや前立腺肥大症の治療薬として使われて来ました。

フィナステリドは生殖器系の合併症が多い可能性があると注目されて来た歴史があります。

それなのに今までこのような生殖器系の副作用が見落とされてきたのでしょうか。

最近ではフィナステリドはプラセボ群と大して変わらなく副作用も実は少ないのではないかとも見直されて来ました。

FDAでも今までこのような副作用は把握していませんでした。

それなのにまたもや今回も生殖器系の副作用の報告となったのです。。

これに関しては今後のデータ収集が急がれるでしょう。

頻度や臨床的な重要度はどうなのでしょうか。

症状が出ればフィナステリドを中止するので大丈夫なのでしょうか。

少量から始めることで慣らすことが出来ないのでしょうか。

正確な作用機序や長期的な影響はどうなのでしょうか。

この問題を解決するために添付文書の改訂は役に立つと思われます。

フィナステリドでどうして血精液症が起きたの???その機序は?

フィナステリドは5αリダクターゼ阻害薬です。

これはテストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)を合成する酵素の5αリダクターゼを阻害するだけの単純な薬剤です。

薬自体に毒性があるとは考えられられず安全な薬剤だと考えられます。

恐らくこれが本当だとすると作用機序はDHTを介したものだと推測されます。

VEGFなどの血管成長因子によって前立腺の毛細血管はコントロールされています。

DHTを減らしてVEGFを減らすことで前立腺の圧が抜けて炎症が収まるのです。

これが前立腺肥大症の治療に繋がります。

しかし、今回はフィナステリドによってDHTが急激に減少してVEGFも急激に減少し毛細血管の弱い部分が破綻したのかもしれないと著者は考えています。

本当は前立腺を生検して毛細血管の状態を把握したかったのですが患者さんの負担も大きいので出来なかったようです。

そのため正確な機序はまだ分かっていません。

血精液症の治療にフィナステリドが使われることもあるのに!!

フィナステリドはむしろ血精液症の治療薬としても注目されています。

VEGFを減少させることで前立腺の炎症を抑えることを利用しているのです。

器質的な原因や感染症などを否定した特発性血精液症でフィナステリド5mgを使用すると2/3の確率で効果があるというのです。

『Finasteride for treatment of refractory hemospermia: prospective placebo-controlled study.』

(難治性の血精液症に対するフィナステリドでの治療方法)

これは2012年にBadawy AA達がInternational Urology and nephrologyで発表しています。

1998年から2008年の間にSohag大学病院の泌尿器科を受診した70人の血精液症の患者のうち24人が特発性の難治性の血精液症と診断されました。

これを12人ずつの2つのグループに分けて片方にフィナステリド5mgを三カ月投与しています。

もう片方はプラセボ群です。

これによりフィナステリド群の2/3の患者さんが治療に成功しています。

プラセボ群では症状は治まらなかったということです。

このようにフィナステリドは血精液症の治療薬としてかなり優秀だと思われます。

しかし、今回はフィナステリドは血精液症の治療薬としてではなく逆に血精液症を引き起こす可能性を指摘された形となってしまいました。

私達はどうすればいいのでしょうか?— 駅前AGAクリニックの対応 —

副作用には大きなものから小さなものまで色々とあります。

今回のケースでは副作用は小さなものだと考えて良さそうです。

血精液症は前立腺の中の小さな毛細血管が破綻しただけだと考えられるからです。

血精液症が起きた場合はフィナステリドを中止するという判断で大丈夫だと思われます。

再開する方法に関しては患者さんと打ち合わせが必要だと思われます。

この患者さんのようにフィナステリドを今後は使わないというやり方にするのか、徐々に慣らしていくのか決断しなければなりません。

フィナステリドはAGAの特効薬であり、5αリダクターゼ阻害薬は進行を抑制する唯一の作用機序をもつ薬剤です。

フィナステリドやデュタステリドが使えないとなるとAGAは確実に進行します。

この患者さんの毛髪は10年後には厳しい状態になっていると思われます。

この点を踏まえて治療方法を決めていくことになります。

現状として血精液症の頻度は不明ですが、まれな副作用と考えて間違いないと思われます。

駅前AGAクリニックに通院されている患者様は安心して頂いて大丈夫だと思います。

副作用が現れた場合もいつも通り私達は全力で治療しますので安心していて下さい。

 

駅前AGAクリニックではこのように薬剤の副作用にも目を光らせております。

副作用の最新情報も患者さんにご提供できるように全国4院、力を合わせており定期的にカンファレンスも行っております。

東京新宿院、大阪梅田院、京都烏丸院、岡山院と治療出来る地域は限られてはいますが、治療の質にこだわり続けて行きたいと考えております。

遠隔治療も行っておりますので質の高い毛髪医療をお受けになりたい方は遠方であっても一度ご相談下さい。


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