『脂質異常症(高脂血症)』の患者さんへ。AGA治療をうけるにあたって
『安全にAGAの治療を受けて頂く』ということは非常に重要だと思います。
安心・安全というのは当たり前のように感じられますが、そうでもありません。
毛髪業界では結構危険なことをされている方が多いです。
AGAの治療には薬剤を使います。
薬剤を使うからには考えるべきことは多いのです。
当院では初診時に採血させて頂いております。
これでお体の状態を把握させて頂いております。
検診結果などお持ちでしたらご持参頂けますと助かります。
今回は非常に多い『脂質異常症』の患者さんをテーマに駅前AGAクリニックの医師がお話しします。
— 目次 —
- 『脂質異常症』ってなんだろう??
- 脂質異常症の3つの油とは??
- ①トリグリセライド(中性脂肪)とは??
- ②LDL-コレステロール ③HDL-コレステロールとは?
- 脂質異常症に対する5つの対策とは??
- 脂肪肝とは??
『脂質異常症』ってなんだろう??
血液の中の油(脂質)の濃度の異常のことを脂質異常症といいます。
ざっくりとしたイメージとして血液が脂っぽすぎるのだと思ってもいいのではないでしょうか。
脂っぽいと血管が詰まります。
時間が経てば動脈が傷ついていきます。
そして、動脈硬化が起きるのです。
つまり血管が硬く変性していきます。
この段階では自覚する症状はあまりないでしょう。
患者さんもあまり心配されていない方が多いです。
これは『生活習慣病』です。
その人の生き方そのものを見つめ直すべき緊急事態なのです。
脂質異常症を放置していると、ある時、突然に症状が出てくると思います。
血管が突然詰まるのです。
脳に詰まれば脳梗塞、心臓に詰まれば狭心症や心筋梗塞です。
これはあまりに重大で後悔しても取り返しがつきません。
実は脂質異常症とAGAは関連しています。
毛髪の下部に毛細血管の集まりがあり毛乳頭というのですが、そこが障害されることでAGAの症状が出てくると考えられているのです。
また、AGAの患者さんにはED(勃起不全)の方が多いのですが、毛細血管が詰まるとこのような症状も出てきます。
AGAを治療するにあたり脂質異常症の治療も大切なのです。
脂質異常症の3つの油とは??
当院の採血では①『トリグリセライド(中性脂肪)』、②『LDL-コレステロール』、③『HDL-コレステロール』の3種類の油を調べています。
①『トリグリセライド(中性脂肪)』と②『LDL-コレステロール』は基本的には少ない方がいいのです。
そして、③『HDL-コレステロール』だけは多い方が良いです。
『脂質異常症』のことを昔は『高脂血症』と呼んでいました。
脂にも善玉と悪玉があるので名前が変わったんですね。
以下でそれぞれ説明します。
①トリグリセライド(中性脂肪)とは??
いわゆる動物の油です。
贅肉といってもいいでしょう。
この油はエネルギーを蓄えたものです。
本来は生きて行くのに非常に大切なエネルギー源でした。
食べ過ぎたり飲みすぎたりした食事のエネルギーを肝臓は必死にトリグリセライドとして溜め込みます。
いつ食事ができるか分からない厳しい世界であればこの贅肉は非常に優秀な存在だったと思います。
エネルギーとして使えますし、断熱材やクッション材としても機能します。
体重が重い方が戦闘時にも有利だったでしょう。
しかし、今の日本においてはむしろ邪魔な存在となっています。
そして、AGAの治療においては明確に邪魔な存在なのです。
トリグリセライドは動脈硬化を引き起こすからです。
また、トリグリセライドの濃度が1000mg/dlを超えてくると急性膵炎の危険性も出てきます。
ここまでくるとアルコールも禁止すべきでしょう。
幸せな日常の終焉も近いのかもしれません。
②LDL-コレステロール ③HDL-コレステロールとは?
もう一つの油、コレステロールとはなんでしょうか。
コレステロールは細胞の皮の部分にあたる細胞膜の成分でもあります。
また、ホルモンの原料でもありこれを元に男性ホルモンや女性ホルモンが作られます。
他にも消化吸収に使われる胆汁酸の原料ともなります。
このように非常に重要な役割があるのですが、エネルギーとしては使われません。
コレステロール自体は油であり水には溶けません。
このままでは血管の中を移動できないのでリポタンパク質と呼ばれるタンパク質に包まれた状態で血液に溶け込んで移動します。
このリポタンパク質とコレステロールの複合体のことを一般的にコレステロールと呼ぶことが多いです。
これは比重により役割が変わります。
LDLコレステロールは『Low-Density lipoprotein』のことです。
つまり比重が軽いのです。
LDL-コレステロールは全身にコレステロールを配達しています。
一方HDL-コレステロールはコレステロールを回収して肝臓に帰ってきます。
コレステロールの配達が多いのに回収が少ないと配達先にコレステロールが溜まっていきます。
これでは配達先も困ってしまいます。
トリグリセライドのようにエネルギーとして使うことも出来ずに溜まってしまったコレステロールは動脈の壁にゴミとして付着しプラークと呼ばれる状態になってしまいます。
このプラークが破綻して心臓の血管につまるとあっという間に心筋梗塞を引き起こします。
脳に詰まれば脳梗塞です。
このようにコレステロールには善玉と悪玉があるのです。
魚の脂は善玉のHDL-コレステロールを増やします。
積極的に青魚を食べるように心がけましょう。
脂質異常症に対する5つの対策とは??
どのようにすればこれらの油を上手くコントロールできるのでしょうか。
まずは食べ過ぎ注意です。
体重はどうでしょうか。
太っていませんか。
基本的に魚中心の和食を心掛けましょう。
魚の脂は回収役のHDL-コレステロールを増やします。
そして、動物性脂肪を多く含んでいる食事は避けましょう。
ラーメンや焼き肉、唐揚げなどです。
これらはトリグリセライド(中性脂肪)とLDL-コレステロールを増やしてしまうでしょう。
そして、適度な運動も必要になります。
どうでしょうか。
なかなかハードルが高いと感じませんか。
日常の食事の選び方を変える必要がありますが、普段美味しいと感じてきたその味覚自体が狂っているということなのです。
その間違った味覚を時間をかけて正常にするように鍛えて行かなければならないでしょう。
脂質異常症の患者さんには症状がでるまで猶予があります。
AGAの治療をきっかけに生活習慣を見直していきましょう。
食事に含まれる油の種類の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸(オメガ3、6、9)については以前の記事を参照してください。
— 5つの対策 —
①食べ過ぎ注意
②太りすぎ注意
③魚中心の和食が理想的
④動物性脂肪は避けましょう
⑤適度な運動をしましょう
脂肪肝とは??
トリグリセライドが溜まり続けると肝臓はフォアグラのようになってしまいます。
これはエコーの検査をすれば簡単に診断がつきます。
この状態だと肝臓の細胞そのものに負担がかかり肝炎、肝機能障害、肝硬変と状態が悪くなっていくことがあります。
脂肪肝も侮れません。
採血検査項目のAST、ALTは肝臓の細胞の中にある酵素です。
これが上昇していると肝臓の細胞が破壊されていると考えられます。
危険信号です。
薬剤は肝臓や腎臓で代謝されます。
そのため肝機能障害がある状態ではAGAの治療が出来ないこともあります。
AGAの治療を行うためにも、健康のためにも生活習慣を見直す必要があるのです。
どうでしょうか。
脂質異常症のご理解が進んだでしょうか。
分からないことはいつでも駅前AGAクリニックでご質問ください。
駅前AGAクリニックは患者さんと長く治療を継続できるようにAGAだけでなく総合的に診察をさせて頂いております。
その中で内科の受診をお勧めすることもありますが、ご理解ください。