植毛した場所の毛が抜ける?原因や対処法について解説!
植毛手術の歴史は古く、海外では1800年代から植毛手術がおこなわれていたという文献もあります。
日本では1930年以降に植毛に関する研究がおこなわれましたが、戦争のためにいったん頓挫します。
その後、1970年代に入って自毛植毛がおこなわれることとなりましたが、半世紀にも及ぶ薄毛手術の歴史において、植毛部位に髪の毛が抜けることはないと証明されてきました。
ただ、実際に植毛手術を受けた方の中には、植毛部位の髪の毛が抜ける方もいらっしゃるということです。
では、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
— 目次 —
植毛部位の毛が抜ける原因
それでは早速ですが、植毛した場所の毛が抜ける原因についてみていきたいと思います。
せっかく移植手術をおこなったのに、なぜ髪の毛が抜けてしまうのでしょうか。
ショックロス
植毛部位の髪の毛が抜けてしまう原因として、よく知られているのがショックロスと呼ばれる現象です。
自毛植毛をおこなった方の内、およそ20%にみられるというデータもあります。
とはいっても、植えた髪の毛が抜けるわけではなく、植毛をおこなった部分にもともと生えていた髪の毛が抜けるのが特徴です。
ショックロスの原因としては、ドナーの移植にともなう局所の炎症や、手術をおこなった際の麻酔の副作用、施術中に起こった毛細血管の切断などさまざまなことがあげられていますが、はっきりとした原因はよく分かっていません。
ショックロスによって抜け落ちてしまうのは、もともと弱くなっていた髪の毛であることが多く、健康な髪の毛にはそれほど影響がないとされます。
また、ショックロスは一時的な現象なので、数ヶ月すれば元通りになることも少なくありません。
ドナーの質
自毛植毛は一般的に後頭部の毛包を皮膚ごと切除し、ドナーに分けて薄毛が気になる場所へと受け付けていく手術法です。
ただ、採取したドナーから生えてくる髪の毛が細くて弱いものであった場合、移植した先でも抜け落ちやすくなります。
ドナーを広範囲から採取するFUE法をおこなった際に、このような現象が見られやすいとされています。
加齢
自毛植毛は一般的にAGAによる薄毛の悩みをお持ちの方がおこなわれますが、なぜ後頭部の毛包を移植するかというと、後頭部の毛包がAGAの影響を受けにくいからです。
薄毛部位に移植した毛包は、AGAの影響を受けにくいという性質を保つため、いったん髪の毛が抜けてもまた生えてくるのがメリットです。
ただ、いくらAGAの影響を受けにくいからと言って、加齢による影響を完全に排除することはできません。
抜け落ちるべき運命にある毛包であった場合、いつかは髪の毛が生えなくなります。
ヘアサイクル
実は、自毛植毛をおこなった場合、手術から1ヶ月ほどすると植えた毛包から髪の毛が抜け落ちてしまうものです。
これにはヘアサイクルが大きくかかわっています。
ヘアサイクルとは髪の毛が生えてから抜け落ちるまでの周期のことで、髪の毛の成長期→退行期→休止期→成長期といった具合に推移します。
基本的に自毛移植は成長期にある髪の毛が生えている毛包を移植するのですが、移植に際して毛包が一時的に毛細血管から切り離されてしまうため、髪の毛が育つための栄養を受け取れなくなります。
そのため、移植した先で抜け毛が起こってしまうのです。
ただし、抜け落ちるのは毛幹と呼ばれる部分であって、髪の毛の根幹となる毛乳頭は毛穴に残っています。
そのため、手術をしてから3ヶ月~6ヶ月が過ぎると、また髪の毛が生えてきます。
植毛部位の髪の毛が抜ける原因としてはショックロスやドナーの質などがあげられるが、発毛の前兆として抜け毛が見られることもある。
植毛部位の毛が抜ける場合の対処法
せっかく植毛をするのであれば、確実に髪の毛の量を増やしたいものです。
そのため、植毛に際しては以下のような点に注意する必要があります。
高密度に植えすぎない
「どうせ自毛移植をするならたくさん移植したい」と願うのが、移植を受けられる方の心理だと思います。
ただ、必要以上に高密度に植毛をおこなうと、かえって抜け毛のリスクが上がってしまう可能性があります。
というのも、高密度で髪の毛を植えることによって、髪の毛1本1本が得られる栄養が不足してしまう可能性が生じるからです。
その結果、髪の毛が成長するために必要な栄養が充分に得られず、抜け毛のリスクが増すわけです。
ヘアサイクルについて理解する
先述したように、髪の毛には1本1本ヘアサイクルという成長と脱毛の周期があります。
移植したばかりの毛包は休止期を迎えているため、改めて髪の毛が生えてくるのに3ヶ月から半年ほどかかることを理解しておきましょう。
治療薬を併用する
自毛植毛にともなう抜け毛が一時的だとは分かっていても、実際に移植部位の髪の毛が抜けると不安になるものです。
そのような場合、治療薬を併用すると良いでしょう。
クリニックの医師に相談する
自毛植毛にともなう抜け毛が心配な場合は、担当の医師に相談すると良いでしょう。
薄毛治療専門のクリニックの医師は、薄毛治療に特化しているため、その抜け毛の原因が何なのかを分析し、患者様を安心させてくれることでしょう。
植毛を検討するタイミング
薄毛の治療法はいろいろありますが、中でも自毛植毛は極めて発毛効果の高い治療法として知られています。
ただ、その分だけ費用が高くなっています。
では、どのタイミングで自毛植毛を検討すればよいのでしょう。
治療薬の効果がなくなってきたとき
自毛植毛を検討するタイミングとしては、治療薬の効果を実感できなくなってきたときがあげられます。
基本的に薄毛の治療薬を使用していて耐性が付くようなことは考えられないのですが、ある程度の改善が見られると、そこで停滞したように感じてしまうものです。
そのような場合、植毛を検討するのも良いでしょう。
薄毛の範囲が広がってきたとき
薄毛にはいくつもの原因があり、種類がありますが、中でも男性に見られる薄毛の代表でもあるAGA(男性型脱毛症)を発症した場合、薄毛を完全に解消するのは難しいとされます。
なぜなら、AGAは進行型の脱毛症だからです。
AGAの治療薬によって現状を維持したり、ある程度まで改善したりすることは可能ですが、毛乳頭が死んでしまった毛穴までは復活させることができません。
そのような毛穴が増えることで、薄毛の範囲も広がっていくことになるのですが、毛乳頭が生きている毛包を移植することで、そのような悩みを根本的に改善することが可能となります。
逆に言うと、ある程度広がってしまった薄毛に対しては、治療薬も焼け石に水となりかねません。
そのようなタイミングで植毛を検討するもの良いでしょう。
薄毛を根本的に改善したいとき
薄毛の中でも進行型の脱毛症であるAGAには、原則として完治という概念がありません。
発症してしまったら、徐々にですが確実に薄毛が進行します。
ただ、AGAの影響を受けにくい後頭部の毛包を移植することで、薄毛の進行をかなり遅らせることが可能となります。
そのため、薄毛を根本的に改善したいときにも植毛がおすすめといえます。
まとめ
自毛植毛はヘアサイクルが正常な毛包を移植する手術法で、確実に髪の毛の量を増やせるのがメリットです。
ただ、手術後、一時的に髪の毛が抜け落ちることもあります。
せっかく植毛をしたのに髪の毛が抜けるとショックを受けてしまうかと思いますが、ヘアサイクルを理解して、経過を見守ることが重要です。
それでもご不安な際は専門医に相談しましょう。