化学療法で毛髪にどんな影響が出るの??薄毛の予防や治療は出来るの?

Ⅰ 化学療法が毛髪に与える影響

CIA(化学療法誘発性脱毛症)とPermanentCIAとは

抗がん剤AGA

抗がん剤などの化学療法により脱毛してしまうことを化学療法誘発性脱毛症(Chemotherapy-Induced Alopecia :以下CIA)といいます。

これは一時的であり元に戻ると言われて来ました。

しかし、一部の患者さんでは永続的な脱毛症になることも知られていました。

これをPermanent Chemotherapy-Induced Alopecia:以下PCIAといいます。

永続的な化学療法誘発性の薄毛ということです。

CIAは成長期の毛髪がダメージを受けて抜けてしまう成長期脱毛と休止期がしばらく続くことによる休止期脱毛の2つの型があると考えられます。

成長期脱毛は抗がん剤投与後2週間程度で起こることが多いです。

休止期脱毛はしばらく発毛が止まるという薄毛で休止期が長くなると永続的、つまりPCIAになります。

抗がん剤は細胞分裂が活発な細胞を攻撃します。

癌細胞と共に毛母細胞のような細胞分裂が活発な正常な細胞も同時に攻撃してしまいます。

常、毛母細胞に対するダメージは一時的で3~6カ月程で毛髪は再生して来るとされています。

しかし、全ての患者さんで完全に元に戻るわけではないと分かって来ました。

実は毛髪の密度や太さ、白髪の数などに影響を残すことが多いのです。

そして、抗がん剤の種類によってその程度も大きく変わることも分かっています。

最新のPermanentCIAに関する知見

海外のデータでは約8%もの患者さんが脱毛症を避けるために化学療法を拒否すると言われています。

精神的に辛いこの永続的な脱毛症については残念ながら今まであまり研究されていませんでした。

化学療法を行うと毛髪はどうなるのでしょうか。

脱毛症は本当に一時的なのでしょうか、それとも残存するのでしょうか。

以下の研究が参考になります。

多くの場合は毛髪の量や太さが減ってしまい、化学療法の毛髪に対するダメージは決して一時的とは言えないということが分かります。

『Permanent Chemotherapy-Induced Alopecia in Patients with Breast Cancer: A 3-Year Prospective Cohort Study』

韓国AGA

これは2018年8月に韓国のDANBEE KANGらがThe oncologistで発表した研究です。

2012年~2013年のソウルの病院で行われた研究です。

乳がんstageⅠ~Ⅲで化学療法を行う患者さん61人を3年追いかけて調べています。

過去にこのような長期の調査はなく、この研究が初めてとなります。

最初に結論ですが、化学療法が終わり6カ月経過後も3年経過後も同じように4割程度の患者さんが客観的にPCIAになっていました。

そして62.5%もの患者さんが3年後も自覚的にPCIAがあると感じていました。

まず、言葉の定義をします。

CIA(Chemotherapy-Induced Alopecia)は髪の密度と太さの減少と定義します。

CIAが6カ月続くと永続的(permanent)と判断しています。

通常は数カ月で元の状態に戻ると考えられているので6カ月以上は一過性ではなく永続的と判断することにしています。

元の状態と比較して2SD離れたものを異常としています。

結果、永続的な化学療法誘発性脱毛症(PCIA)は化学療法が終わり6カ月経過後には39.5%、3年経過後には42.3%と判定されました。

これは一般に思われているよりはるかに多い数字だと思います。

そしてPCIAの患者さんはPCIAでない患者さんよりボディーイメージの変化をより自覚してしまっていることも研究から分かりました。

以下文献より表を引用します。

上の段のA、Bの縦軸は髪の密度です。

下の段のC、Dの縦軸は毛髪の太さです。

左側のAとCは全体の平均。

右側のBとDは3種類の化学療法での結果です。

(AC:ドキソルビシン、シクロホスファミド FAC:フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド Taxane-based:タキサン系)

横軸は時間経過です。

T1は化学療法前、T2は2サイクル後、T3は1か月後、T4は3か月後、T5は6か月後、T6は3年後です。

上の段の毛髪の密度は比較的戻りやすいですが下の段の毛髪の太さは戻りにくいことが分かります。

また、他の薬剤に比べてタキサン系で回復しにくいことも分かります。

頭皮の拡大写真です。

左の化学療法前に比べ、右の3年後は密度が下がりまばらで毛髪も細くなっているのが分かります。

この表は化学療法が終わり3年経過後の髪の変化のランキングです。

75%の患者さんで毛髪が細くなり、53.9%の患者さんでボリュームが減り、34.6%で脱毛症と白髪、23.1%の患者さんで髪のごわつきが表れ、17.3%の患者さんでくせ毛、3.9%で油っぽくなったとの結果でした。

この検証で今まで思われていたより多くの毛髪の変化が3年後も残存していたことが分かりました。

むしろ毛髪の変化がない患者さんの方が少ないという結果です。

私達は抗がん剤が毛髪に対して与える影響にもっと興味を持たなければなりません。

Ⅱ 化学療法による脱毛症の予防方法

頭皮冷却装置の凄い効果とは??

脱毛を起こすことを受け入れられない患者さんが多くいらっしゃいます。

予防が出来るのであれば救われる命もあるかと思います。

日本ではあまり積極的ではありませんが、世界に目を向けるとCIAを防ぐ努力が行われ続けています。

例えばPAXMANのSCALP COOLINGという頭皮冷却装置があります。

抗がん剤投与の際に装着し冷却するという一見単純なものですが効果はかなりあるようです。

日本では保険適用外になるので特別に理解のある病院でなければ行う事が出来ませんが扱いは簡単です。

センチュリーメディカル株式会社が日本でも販売しています。

 

PAXMANのホームページから画像を引用。

頭皮を冷却すると毛細血管が収縮し血流が少なくなります。

そのため頭皮に抗がん剤が取り込まれなくなり毛母細胞に対するダメージが軽減します。

では、脱毛症がそれで予防できたとして頭皮における癌の再発はどうなのでしょうか。

実は乳がんでは頭皮冷却を行っても頭皮での再発率は変わりません。

また、頭皮での再発率は低いです。

それでも頭皮で再発してしまう場合はその他の部位でも再発があることが多くそちらの方が問題になることが多いのです。

頭部冷却装置の使用は生存率には影響しないことも分かっています。

この装置での脱毛予防効果は30~50%程度です。

クーリングするだけでこれ程の効果があるのならかなり有用ではないでしょうか。

1973年~2003年の間で56件もの試験が行われ頭皮冷却システムの検証がされて来ました。

昔は性能が悪かったようですが、現在ではかなり高性能になっています。

ただし、日本人は欧米人とは頭部の形状が違うため装置のフィッティングを合わせる必要があると思われます。

FDAも2015年に頭皮冷却装置を認可し、現在では世界で広く扱われるようになって来ています。

その後は乳がん以外の癌にも適応が広がっています。

日本も美容的観点から乳がんの再建術が保険適用になっています。

2006年に自家組織(皮弁法)による乳房再建が保険認可されました。

2013年にはラウンド型シリコンインプラントとティッシュ・エキスパンダー(皮膚拡張器)、

2014年にはより自然な形状のアナトミカル型シリコンインプラントも適用となっています。

この流れに乗り、毛髪に関しても保険での対応が出来るようになるのが望ましいところです。

少し文献を見てみましょう。

『Effect of a Scalp Cooling Device on Alopecia in Women Undergoing Chemotherapy for Breast Cancer.』

アメリカAGA

2017年にJAMAでJulie Nangiaらが発表した文献です。

これは2013年~2016年の米国の7施設で乳がん患者さんに対して抗がん剤使用時に頭皮クーリングを行った試験です

142例と症例数は少ないですが、クーリングを行った患者さんの脱毛症予防率はなんと50%近くになっています。

欠点は抗がん剤の種類や頭皮に対するフィッティングなどによって効果の程度も変わると考えられることと冷却の不快感の問題です。

他の文献を見るとドセタキセルやパクリタキセルを含むタキサンベースの化学療法では50%近くと効果的ですが、アントラサイクリン系では予防効果は16%程度まで落ちるとも言われています。

今後の研究方向として頭皮冷却装置を使用するとPCIAやその他の永続的な毛髪変化(白髪、くせ毛等)が長期的にどうなるのかも興味深いところです。

Ⅲ 化学療法による脱毛症の治療方法

ミノキシジル・スピロノラクトン・メソセラピーの効果

ミノキシジルについて

薬AGA

CIAが起きてしまった場合の治療はどうすればいいのでしょうか。

残念ながら現在はっきりと発毛に効果的だと証明されている方法はありません。

しかし、ミノキシジルは効果がある可能性が高いと考えられています。

投与方法は外用のみでなく内服も効果的と思われます。

AGA や FAGA でもミノキシジルは外用より内服の方が効果的です。

内服と外用を併用した方が効果的なのは同じでしょう。

仮にミノキシジルで発毛が不可能であったとしても毛包を大きくする作用があるので残った毛髪を太くしボリュームやコシに影響するかと思われます。

実はミノキシジルの効果については、これまでほとんど検証されて来ていません。

ミノキシジル2%外用薬が効果的だと言われていますが、その検証も古く1996年まで遡ってしまいます。

『A randomized trial of minoxidil in chemotherapy-induced alopecia.』

これはJournal of the American Academy of DermatologyでDuvic M達が発表した研究です。

22人の患者さんで検証した結果、ミノキシジル2%外用薬を使うことで使わない場合に比べて50.2日も早く発毛するということです。

それからかなり時間が経過していますが、残念ながらその他の検証は行われておりません。

古い文献であり対象も22人と小規模な研究でした。

また、ミノキシジルの内服に関してもCIAに対する効果について検証は行われていません。

現状は経験的に使用されていてまだ科学的とは言えない状態と言えます。

ようやく今、シカゴにあるNorthwestern UniversityでPCIAに対してミノキシジルの内服療法の臨床試験が行われています。

その結果が分かるのは2020年になります。

スピロノラクトンについて

AGAスピロノラクトン

乳がんに対してタモキシフェン等のホルモン療法が行われているのであればスピロノラクトンも効果的だと推測されます。

FAGA(女性男性型脱毛症)がエストロゲンの低下で誘発されることを考えると抗エストロゲン作用を持つタモキシフェンはFAGAの症状を誘発すると思われます。

FAGAは女性ホルモンが低下することで相対的に男性ホルモンが優位になり発症します。

そのため抗テストステロン作用を持つスピロノラクトンはその症状を和らげてくれると思われます。

スピロノラクトンもミノキシジル同様に発がん性はないと考えられるので女性のCIAにも使用可能と考えられます。

再発リスクにも影響はないでしょう。

メソセラピーについて

AGA治療

新しい治療方法のメソセラピーだとどうでしょう。

成分にミノキシジルや成長因子を入れることが出来ます。

抗がん剤による休止期脱毛や毛髪の成長にも効果的に作用しそうだと期待出来ます。

AGAやFAGAに対するメソセラピーの効果を見ているとかなり効果的だと想像出来ます。

上記の内服・外用治療に組み合わせれば現状の治療方法として最強だと考えます。

全体として、CIAに対する治療について検証されている研究は少なく経験的に治療されている現状が見て取れます。

フィナステリドやミノキシジルのAGA・FAGAに対する効果の発見も偶然であり、同じようにまずは経験的に使用されてから科学的に検証されて確証を得るものだと思います。

CIAの領域でも今後一層の研究が進むことを望みます。

駅前AGAクリニックは毛髪総合クリニックです。

全てのタイプの薄毛の治療をお任せください。

全国4院、東京新宿、大阪梅田、京都烏丸、岡山のすべてのクリニックで一貫した最新の薄毛治療を行っております。

抗がん剤の脱毛症に関しても積極的に治療を行えます。

一度ご来院頂きご相談頂ければと思います。

駅前AGAクリニック 東京新宿院(新宿AGAクリニック)

新宿駅より徒歩4分
西新宿駅より徒歩1分
東京都新宿区西新宿7丁目20-2 愛美堂ビル7階

駅前AGAクリニック 大阪梅田院

阪急梅田駅より徒歩3分
御堂筋線梅田駅より徒歩5分
JR大阪駅より徒歩6分
阪神梅田駅より徒歩6分
東梅田駅より徒歩6分
地下鉄谷町線中崎町駅より徒歩5分
大阪府大阪市北区角田町1-17 サイドトリップ11 3階

駅前AGAクリニック 京都烏丸院

阪急烏丸駅より徒歩3分
地下鉄烏丸線四条駅より徒歩4分
京都府京都市中京区手洗水町650 四条烏丸スタービル6階

駅前AGAクリニック 岡山院

岡山駅より徒歩4分
岡山県岡山市北区本町2-4 若林ビル2F