【円形脱毛症に効く薬】抗ヒスタミン剤と脱毛を防ぐ治療方法について
円形脱毛症の治療は難しいです。
AGAクリニックなどの毛髪専門クリニックはとても多いですが、円形脱毛症の治療を行っているところは少ないでしょう。
そのため、皮膚科が診療のメインとなっています。
実際に円形脱毛症を発症した際に皮膚科を受診すると、抗ヒスタミン剤という治療薬を処方されることがあります。
しかし、これは本当に最適な治療方法なのでしょうか。
今回は、駅前AGAクリニックの医師が円形脱毛症に効く薬について説明します。
— 目次 —
そもそも円形脱毛症って?原因は?
円形脱毛症の治療薬についての説明に入る前に、まずはなぜ円形脱毛症になるのか、その原因から説明します。
円形脱毛症の原因は、様々な説が提唱されていますが、近年有力とされている原因は、「自己免疫疾患」です。
自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、本来体内に侵入してきた異物を排除するための免疫細胞が、何らかの原因により自分の体の一部を攻撃してしまう病気です。
これにより毛根が攻撃されることで、抜け毛が起こり、円形脱毛症になるのです。
自己免疫疾患の原因ですが、詳細は詳しくわかっていません。
環境の変化や精神的なストレスが原因ではないかとも言われています。
― POINT ―
✔︎円形脱毛症の原因は自己免疫疾患
自己免疫疾患は免疫異常
✔︎自己免疫疾患の原因は不明
抗ヒスタミン剤って円形脱毛症に効くの?
さて、冒頭でも説明した通り、皮膚科を受診すると抗ヒスタミン剤を処方されることがあります。
抗ヒスタミン剤とはまず何なのか説明します。
抗ヒスタミン剤とは
抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンに拮抗する薬剤でヒスタミン受容体のH1受容体に作用してヒスタミンの作用を抑えているのです。
ヒスタミンは肥満細胞などの細胞内に貯蔵されていて、それが放出されることによりアレルギーを引き起こします。
ヒスタミンはその他にも神経伝達物質として働いたりオキシトシンの分泌や覚醒状態の維持、食行動の抑制、記憶学習能の修飾などの生理機能を促進するなど多くの働きがあります。
ヒスタミンのレセプターには4種類ありH1受容体からH4受容体まであります。
その中のH1受容体がⅠ型アレルギーに関わっているため、それをターゲットとして薬剤が作られて来ました。
そして、現在では花粉症やアトピー性皮膚炎、痒み止め、風邪の時の鼻水止めなどとして活躍しているのです。
円形脱毛症に対する抗ヒスタミン剤の効果について
円形脱毛症は毛包組織に対する自己免疫疾患で細胞障害性T細胞が活性化されて毛包由来の自己抗原をターゲットにして発症していると考えられています。
ここにヒスタミンがどのように関わっているかは不明です。
H1受容体がTh1を活性化して、H2受容体がTh1とTh2の活性化を抑制することが分かっています。
T細胞にもH4受容体が存在しているようです。
このようなことからT細胞にヒスタミンが影響を与えることがあってもおかしくはないのです。
このように人によっては円形脱毛症にヒスタミンが関与している可能性もあるかもしれません。
また、円形脱毛症とアトピー性皮膚炎には大きな関連性があります。
その中ではヒスタミンが何かしらの役割を担っている可能性があってもおかしくはないのです。
では、この抗ヒスタミン剤は円形脱毛症の改善に効果的なのでしょうか。
そもそも、抗ヒスタミン剤は、円形脱毛症の治療に使用していいのでしょうか。
円形脱毛症治療での使用について
ガイドラインでは『行ってもよい』という位置づけにあります。
つまりそれほど効果的ではなさそうだけれどもある程度効果があるかもしれないと判断しているのです。
抗ヒスタミン剤は円形脱毛症に効果はあるのか
抗ヒスタミン剤は実際にどれくらい効果的なのでしょうか。
結論から言うと、効果があるとは考えにくいです。
したがって当院でも円形脱毛症の治療に抗ヒスタミン剤を使用しておりません。
その理由について説明します。
科学的根拠が少ない
海外の医学的文献を調べてみると円形脱毛症と抗ヒスタミン剤の関連性についての発表がほとんどないことが分かります。
これほど流通している薬剤なのに抗ヒスタミン剤で円形脱毛症が治ったと言われていないのです。
では日本の皮膚科学会のガイドラインではどう言っているのでしょうか。
日本で2つのランダム化比較試験、2つの非ランダム化比較試験、2つの症例報告があったとしています。
内容は塩化カルプロニウムやセファランチン、局所免疫療法などと組み合わせて治療した場合に効果的であったとまとめることが出来ます。
特にその中でもアトピー素因を持った患者さんでは効果が高い可能性があるということです。
残念ながらたったこれだけのエビデンスしかないのです。
世界的にもほとんど治療効果が認められていないのであれば抗ヒスタミン剤が円形脱毛症に効果的だというのは考えにくいのではないでしょうか。
日本での治療効果についての発表も少なすぎますし、今後も抗ヒスタミン剤の治療効果についての発表がある感じでもないです。
やはり円形脱毛症にヒスタミンは関与していないと考えるべきかと思われます。
処方する医師の本音として、効果はほとんどないと思っていることでしょう。
効果があればラッキーと思っているのではないでしょうか。
実感できる効果に対して副作用が大きい
抗ヒスタミン剤には副作用があります。
かなり改良されていますが、やはり中枢神経に全く作用しないわけではありません。
その副作用と円形脱毛症に対する治療効果を天秤にかけた場合、抗ヒスタミン剤を使わない方がいいと感じるのは私だけではないでしょう。
他の治療方法で効果がない時に試してみてもいいのかもしれません。
しかし、それでも効果がない場合は直ぐに内服を止めるのが正解でしょう。
以上の理由から駅前AGAクリニックでは積極的に抗ヒスタミン剤は使っておりません。
すでに他院で処方されている場合は継続してもいいと思います。
しかし、効果がない場合は抗ヒスタミン剤を使わなくてもいいと考えております。
やはり適切な治療法は、患者さんごとに異なるので、まずは専門の医師に相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。
― POINT ―
✔︎抗ヒスタミン剤はアレルギー治療薬
✔︎円形脱毛症にはほとんど効果がない
✔︎ヒスタミンは円形脱毛症の原因ではない
円形脱毛症を改善するなら!効果的な治療について
円形脱毛症の治療方法を考える場合に日本皮膚科学会が策定した『円形脱毛症診療ガイドライン2017年版』は理解しておく必要があります。
円形脱毛症は昔からある疾患ですが、治療方法はそれほど大きく変わっていません。
日常の診療でもなかなか治療が上手くいかなくて苦労することも多い病気です。
治療方法としての選択肢は数が少なく数種類の治療方法を併用して治療効果を高めようと努力されて来ました。
『円形脱毛症診療ガイドライン2017年版』は医学的なエビデンスを考慮して作られています。
円形脱毛症などの毛髪疾患に関しては根拠のない情報がインターネット上にありふれています。
これからの時代は情報を選別していく必要があります。
円形脱毛症の三大治療法
円形脱毛症の治療で日本皮膚科学会が行うように勧めている治療方法は実はたったの三つしかありません。
- ① ステロイド局所注射療法
- ② 局所免疫療法
- ③ ステロイド外用療法
これらの治療方法が円形脱毛症の正当な治療方法なのです。
それ以外の治療方法はこの三つの治療方法と併用する形になります。
そして、治療効果がない場合は積極的にかつらを使用することを勧めています。
上記以外の効果的な治療法
上で説明した治療法以外に有効的な治療法を説明します。
ミノキシジル
円形脱毛症に有効的な治療法として、AGA治療では重宝されるミノキシジルがあります。
ミノキシジルは、発毛を促進する成分であり、内服薬であるミノキシジルタブレットや、外用薬である外用ミノキシジルがあります。
ミノキシジルについて詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。
メソセラピー局所免疫療法
メソセラピー局所免疫療法とは、当院の院長が開発した最新の円形脱毛症の治療法です。
先ほど、円形脱毛症の原因は自己免疫疾患であると考えられていると説明しました。
メソセラピー局所免疫療法では、頭皮全体に直接薬剤を注入します。
これにより免疫が刺激されるのです。
また、体に害のない成分を注入するので、副作用がほとんどなく、効果が出るまでが早いと言う特徴があります。
メソセラピー局所免疫療法について詳しくはこちらをご覧ください。
さて、このように、円形脱毛症の治療法として推奨されている3つの治療法以外にも、より効果が高い最先端の治療法もあります。
したがって、治療を検討中の方は、専門の医師の診察を受けた上で、正しい治療法を選択することが重要です。
まずは無料相談から始めてみてはいかがでしょうか。
― POINT ―
✔︎ミノキシジルで発毛を促すことが可能
✔︎メソセラピー局所免疫療法は非常に効果的
✔︎メソセラピー局所免疫療法は副作用がほとんどない
【番外編】抗ヒスタミン剤の歴史
ここから先は少々マニアックな内容になるので、興味のある方は見てください。
1937年にイタリアの薬理学者Daniel Bovetが第一世代の抗ヒスタミン剤を開発しました。
彼の薬理学的功績は大きく、その後、ノーベル医学生理学賞を受賞しています。
ここでは抗ヒスタミン剤の歴史について説明します。
第一世代の抗ヒスタミン剤
第一世代は血液から脳への移行性が高く強力な中枢抑制作用を持っています。
それに注目して多くの抗精神病薬や抗うつ薬などの中枢神経系作用薬が開発されました。
第一世代の抗ヒスタミンとその効果は以下の通りです。
- ジフェンヒドラミン(ベナ、レスタミンコーワ軟膏)
鎮静作用が強い。そのため夜に服薬するなどの工夫が必要。
- ジメンヒドリナート(ドラマミン)
抗めまい薬としても使われる。
- クロルフェニラミン(アレルギン、ポララミン、クロール・トリメトン)
鎮静作用が少ないため第一世代の中では昼間にも投与しやすい。
- プロメタジン(ピレチア)
局所麻酔作用がある。
- ヒドロキシジン(アタラックスP)
鎮静薬、制吐薬としての使われ方が多い。
麻酔の前投薬として有名だったが出番が減って来ている。アナフィラキシーショックに対して静注されることが多い。
- シプロヘプタジン(ペリアクチン)
食欲亢進、体重増加作用がある。
1980年代からは脳に移行しないで中枢抑制作用がないような抗ヒスタミン剤が開発されてきています。
これを第二世代の抗ヒスタミン剤といいます。
第二世代は眠気や認知機能の低下などの副作用が少なくなっています。
副作用がかなり軽減されたことにより花粉症や鼻アレルギー、風邪による鼻汁、痒み止めなどで活躍するようになってきています。
第二世代の抗ヒスタミン剤は以下の通りです。
- ケトチフェン(ザジテン 1983年)
初期の第二世代薬。皮膚や眼のアレルギー症状、鼻炎に対してよく使われている。
- エピナスチン(アレジオン 1994年)
肥満細胞を安定化させてヒスタミンおよびSRS‐Aの遊離を抑制する作用も持つ。
高いヒスタミンH1受容体選択性をもち、ムスカリン受容体やヒスタミンH2受容体選択性への影響は非常に低い。
- エバスチン(エバステル 1996年)
血液脳関門をほとんど通過しないため中枢神経系の副作用(鎮静、傾眠等)を起こす事が少ない
- セチリジン(ジルテック 1998年)
コンタック鼻炎Zなどにも使われている抗アレルギー薬。
アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、皮膚の発疹、湿疹に適用がある。
- ベポタスチン(タリオン 2000年)
選択的ヒスタミンH1受容体拮抗。
比較的眠気の発現頻度が少なくなっている。
- フェキソフェナジン(アレグラ 2000年)
添付文書に眠気という文字がないことで有名。
この辺りの薬から第三世代と呼んでいる人もいる。
- オロパタジン(アレロック、パタノール 2001年)
H1受容体拮抗作用と肥満細胞等からのヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンなどのケミカルメディエーター遊離抑制作用を持つ。即効性がある。
- ロラタジン(クラリチン 2002年)
フェキソフェナジンと同じように眠気が少ないタイプ。
一日一回の内服で効果があり便利。効果は弱め。
- レボセチリジン(ザイザル 2010年)
セチリジンの光学異性体のR体で眠気が少なくなっている。
- デスロラタジン(デザレックス 2016年)
ロラタジンの主な代謝物質で同等の効果や安全性がある。
ニキビにも適用がある。
- ビラスチン(ビラノア 2016年)
一日一回空腹時に内服。
運転なども出来るほど中枢抑制作用が少なくなっている。
まとめ
いかがでしたか?
円形脱毛症の原因から、治療方法までご理解出来ましたでしょうか。
円形脱毛症は発症から時間が経てば経つほど治りにくくなります。
できる限り早く専門の医師の診察を受けることを強くお勧めします。
駅前AGAクリニックはAGAに加え女性の薄毛や円形脱毛症の治療も得意としています。
当院オリジナルの治療方法『メソセラピー局所免疫療法』は治療効果も高くオススメできます。
従来の治療方法で効果がなかった難易度の高い患者さんも歓迎しております。
治療を検討中の方は、まずは無料相談から初めてみてはいかがでしょうか。