AGA治療薬が原因で髪が抜ける?初期脱毛の仕組みと症状・対処法について
AGA治療には初期脱毛という副作用があるとよく言われます。
そもそも初期脱毛とは一体何なのでしょうか。
また、初期脱毛は本当に副作用なのでしょうか。
初期脱毛のメカニズムから、初期脱毛が起きた時の対処法まで、駅前AGAクリニック大阪梅田院の院長が詳しく解説します。
— 目次 —
そもそも初期脱毛とは
初期脱毛とは、AGA治療薬の投薬を開始した際に起こる抜け毛のことです。
人によっては気づかない程度の場合もありますが、恐怖で治療を止めたくなるほど抜け毛が起きることもあります。
この初期脱毛はAGA治療の副作用であると言われることも多くあります。
しかし、正確にはこれは副作用ではありません。
むしろ、治療効果が出ている証と言えます。
初期脱毛が起きたらなら、より一層力を入れてAGA治療を継続していくべきなのです。
まずは薬剤の作用機序を復習しながら、初期脱毛のメカニズムを見ていきましょう。
プロペシア・ザガーロの効果と初期脱毛
AGAの特効薬ともいわれるこれらの薬剤は、5αリダクターゼ阻害薬といわれています。
これは5αリダクターゼを阻害することによりAGAの根本原因である、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)を減らす薬剤です。
DHTはヘアサイクルを短くする原因です。
そのためDHTを抑制することによりヘアサイクルが正常になりAGAの進行が抑えられ、その結果発毛するのです。
ではなぜ初期脱毛のような抜け毛が起きるのでしょうか。
ミノキシジルの効果と初期脱毛
ミノキシジルで初期脱毛が起きるということは有名です。
ミノキシジルは毛包の根元にいる毛乳頭の血流を増やし毛乳頭細胞から成長因子の分泌を促します。
それにより毛母細胞が活性化して細胞分裂を起こし、毛髪となります。
これは唯一の存在の優れた発毛薬です。
これでなぜ治療初期に毛髪が抜けてしまうのでしょうか。
スピロノラクトンの効果と初期脱毛
スピロノラクトンで初期脱毛が起きるという情報はあまりないかもしれません。
初期脱毛はやはりミノキシジルが有名で次にフィナステリドやデュタステリドでしょう。
それはスピロノラクトンのみ内服している患者さんが少ないことと、スピロノラクトンに興味を持っている医師も少ないので情報が少ないのだと思います。
この図は女性の薄毛の患者さんのホルモンバランスを示しています。
男性ホルモンが多くて相対的に女性ホルモンより優位になっています。
スピロノラクトンの作用機序は男性ホルモンの作用を減らして女性ホルモンを相対的に優位に戻すことにあります。
これにより短くなっているヘアサイクルを元に戻そうとするのです。
この作用機序はフィナステリドやデュタステリドに似ていると思いませんか。
スピロノラクトンも治療初期に脱毛が起きるのです。
AGA治療薬はどれでも初期脱毛が起こりえます。
しかし、これはAGA治療薬の副作用によって引き起こされているのではないのです。
初期脱毛が起きる原因
初期脱毛がAGA治療薬の副作用でないとすると、初期脱毛が起きる原因は何なのでしょうか。
その原因はヘアサイクルにあります。
患者さんのヘアサイクルの異常が正常化されることが初期脱毛の原因となるのです。
その理由を詳しく見ていきましょう。
初期脱毛の正体!ヘアサイクルとは
毛髪が生えてきてから抜けていくまでの周期のことをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。
毛髪には大きく成長期、退行期、休止期と三つの時期があり、1つのサイクルは、2年から6年程度あります。
成長期について
まず、成長期に皮膚の中の毛包で毛髪が誕生し、皮膚の外に顔を出して育ち続けていきます。
この状態で長い時間があることで、しっかり太い毛髪に育ちます。
毛髪全体の8割程度が成長期毛といわれています。
退行期について
髪の毛の寿命が近くなると2週間ほどの退行期に移り毛髪の根元が萎縮します。
休止期について
その後、3カ月ほどの休止期に入り活動が停止します。
また、休止期は毛髪全体の1割程度だといわれています。
ヘアサイクルの仕組み
人体にある毛包は一つ一つにそれぞれのサイクルを持っていて、頭皮にある毛髪も体にある体毛も一つ一つにサイクルがあります。
クリニックを受診された患者さんに私達がマイクロスコープを使って解説することもありますが、頭皮でも部位により色々なサイクルが混在しています。
ヘアサイクルが短いと、髪の毛髪が細くなり、逆に長いと太くなります。
生え際は細くなりやすく、後頭部は太くなりやすいようにヘアサイクルは部位によって異なり、人によっても違います。
初期脱毛の仕組み
AGAや女性の薄毛(女性型脱毛症)ではこのヘアサイクルが短くなってしまっています。
そして、ヘアサイクルが正常化すると休止期の状態の毛髪が急に成長期に移ります。
こうなると毛包にまだ残っていて根元が萎縮している毛髪が下から生えてくる成長期の毛髪に押し出されてくるのです。
つまり、新しく生まれた成長期毛がその上にある古い毛髪を押し出すことで髪が抜けるのが初期脱毛の正体なのです。
これは単に毛髪が生えてきたという単純な話なのです。
実は副作用とは全く関係ないことだったのです。
初期脱毛は薬剤が効いて発毛してきている証拠です。
これは本来抜けるべき毛髪が抜けているに過ぎません。
心配する必要は全くなく、むしろ治療効果があったと思って大丈夫です。
治療開始前のヘアサイクルが短ければ短いほど、治療効果が高ければ高いほど、初期脱毛が強く起きるのです。
古い毛髪が新しく生えてきた毛髪に押し出されて抜けてしまう現象が初期脱毛なのです。
心配する必要はありません。むしろ治療効果が出ている証拠なのです。
初期脱毛の症状と期間
初期脱毛の症状
通常の抜け毛は一日100本前後といわれています。
それが数倍になるのが初期脱毛の症状です。
抜け毛がそれだけ増えるとかなり怖いと思います。
それでも毛髪は10万本あり、それくらい抜けたとしても見た目の変化はほとんどないでしょう。
初期脱毛を乗り越えた先には発毛があると信じて乗り切っていきましょう。
これは副作用ではないのですから大丈夫です。
初期脱毛と期間
初期脱毛は薬剤が効いてからすぐに始まってきます。
ヘアサイクルがどの程度乱れていたか、毛包にどのくらい元気が残っているか、どの位の治療の強さなのかで症状は変わります。
治療開始から一週間程度で初期脱毛が起き始めます。
治療開始から二カ月以内には収まることが多いでしょう。
それ以上続くなら他に抜け毛の原因があるかもしれないので、これはこれで医師に相談することが良いでしょう。
初期脱毛が起こった時の対処方法
それでも初期脱毛が不安で仕方ない人に向けて、何か少しでも出来ることはないのでしょうか。
より強い治療をする
治療方法をさらに強くすると脱毛期間が短縮するかもしれません。
例えば、下記にような方法があります。
- プロペシア(フィナステリド)をザガーロ(デュタステリド)に変更する
- 治療内容にミノキシジルを加える
この方法だとはじめは脱毛の量が増えるかもしれません。
しかし、脱毛期間が短くなれば不安な時期が短くなって安心できるでしょう。
メソセラピーを導入する
また、初期脱毛の対策にとても有効的な方法として、メソセラピーがあります。
メソセラピーとは、錠剤を飲むことで体内から有効成分を吸収する内服薬や、頭皮に直接塗布する外用薬と違い、頭皮に直接有効成分を注入する治療です。
メソセラピーは投薬治療に比べて効果が出るまでの期間が短く、副作用が少ないというメリットがあります。
メソセラピーは発毛のペースが非常に速くなりますので、初期脱毛の克服には有用です。
初期脱毛が起こり、どうしても不安な時期もあるかと思いますので、そのような場合はクリニックの医師にご相談ください。
我々は多くの初期脱毛の患者さんを見てきています。少しでも患者さんの不安を取り除くことができればと思っています。
まとめ
初期脱毛は副作用と勘違いされやすいです。
これは副作用ではなく、むしろ薬が効いている証拠ですので不安になる必要はありません。
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遠隔診療にも対応できますので、遠方の患者さんも是非お問い合わせください。