AGAと円形脱毛症、どちらが辛いと思いますか?
AGAにしても円形脱毛症にしても毛髪疾患は命に関わることはありません。
そのため医学的な研究は後回しにされて来ました。
しかし、どちらの疾患も患者さんにとっては辛いものです。
人生が100年の時代とも言われている現代ではいつまでも若々しく自信を持って生きて行きたいと考えている方が多くなっています。
そのため美容の問題は以前にも増して重要となって来ています。
今回はAGAと円形脱毛症の精神的な辛さについて比較してみましょう。
いつものように駅前AGAクリニックの医師が解説します。
みなさんはどちらの方が辛いと思いますか?
— 目次 —
- AGAと円形脱毛症が人生の質(QOL)に与える影響とは。— トルコの比較試験 —
- AGAと円形脱毛症を色々比較してみましょう。— 病因・治療・頻度・予後 —
- 医師が円形脱毛症を恐れる理由とは??
AGAと円形脱毛症が人生の質(QOL)に与える影響とは。— トルコの比較試験 —
2018年にAn Bras DermatolでMuzeyyen Gonul達が発表した文献を要約します。
『Comparison of quality of life in patients with androgenetic alopecia and alopecia areata』
83人(女性52人、男性30人)のAGAの患者さんと56人(女性25人、男性31人)の円形脱毛症の患者さんを集めて『Hairdex scale』、『dermatology quality of life instrument in Turkish (TQL)』という二つの方法でアンケートを取って患者さんの心に与える影響を評価して比較しています。
著者達は『Hairdex scale』の方が『TQL』よりも毛髪に関して正確に患者さんに対する影響を評価出来ると考えていました。
結果として『TQL』ではAGAと円形脱毛症で大きな違いはなかったのですがそれはTQL自体の問題だと考えています。
そして、『Hairdex scale』ではAGAの患者さんの方が円形脱毛症の患者さんよりもより大きくストレスを抱えていると判明しました。
他にも似たような研究がありますが、やはりAGAにしても円形脱毛症にしても重症度が高い方が患者さんに与える影響が大きく、女性の方が男性よりもストレスが大きくなるようです。
今回の研究で明らかになったのは実はAGAは円形脱毛症よりも患者さんにとって辛かったということです。
これは重要な発見だと考えられます。
今まで私たちはAGAやFAGAを軽視しすぎていたのではないでしょうか。
私達、医師の間では円形脱毛症の方が重大な疾患と認識されているのが現状だと思います。
しかし、なぜ円形脱毛症の方が重大なのでしょうか。
患者さんにとってはAGAの方が辛かったのです。
治ることを期待することが出来る円形脱毛症よりも治る見込みのないAGAやFAGAの方が精神的に辛かったのです。
私達、医師もAGAやFAGAを過小評価していたことを反省しなければなりません。
駅前AGAクリニックでは例え円形脱毛症で来院された患者さんでも同時に男性型脱毛症や女性型脱毛症を合併していないか注意して診察するように心がけています。
AGAと円形脱毛症を色々比較してみましょう。— 病因・治療・頻度・予後 —
AGAの病因
AGAの原因は男性ホルモンがほとんどを占めています。
その中でもDHT(ジヒドロテストステロン)が一番の原因です。
DHTが頭皮で合成されると毛乳頭にある男性ホルモンレセプターに作用します。
それにより毛乳頭からヘアサイクルを短縮するような情報伝達物質が分泌されます。
ヘアサイクルが短縮すると毛髪は成長期を十分に取れずにまだ細いにも関わらずに抜けてしまいます。
この細く軟毛化した毛髪が増える現象はAGAに特徴的です。
これはマイクロスコープでも観察することが出来ます。
これを繰り返している内に毛母細胞自体が疲弊していなくなってしまいます。
AGAはこのように進行していくのです。
DHT(ジヒドロテストステロン)の分泌量や男性ホルモンレセプターの感受性には遺伝が大きく関わっていることが分かっています。
円形脱毛症の病因
円形脱毛症は免疫の異常が原因です。
自分の毛包組織に対してTリンパ球が攻撃してしまう自己免疫疾患です。
誘因ははっきりとはしません。
よくストレスが原因と言いますが、その関連性は証明されていません。
ストレスとは関係がないと考えられています。
円形脱毛症は自己免疫疾患でその他の自己免疫疾患を合併していることも多いです。
AGAの治療
AGAの治療は男性の場合はフィナステリドやデュタステリドなどの5αリダクターゼ阻害薬を使用します。
これでDHT(ジヒドロテストステロン)を減少させてヘアサイクルを延長させるのです。
これは毛母細胞の数を増やすような直接的な治療ではありません。
ヘアサイクルを正常化することにより毛母細胞の数を温存していくという間接的な治療となります。
女性の場合は多くはスピロノラクトンが使われます。
スピトノラクトンは男性ホルモンをブロックする作用や減らす作用があると考えられています。
これによりヘアサイクルを正常化するのです。
また、最近では女性にもフィナステリドやデュタステリドが使用されるようになって来ていますが、これらの薬剤は妊娠した場合は男性胎児の生殖器の発達も阻害されるため日本ではまだ一般的ではありません。
その他に男性、女性共にミノキシジルも治療薬として使われますが、これはAGAやFAGA(女性の薄毛)の進行を抑制する効果は少なく毛量を調整する意味合いの方が大きいと考えるべきだと思います。
ミノキシジルの進行抑制効果は全くないわけではありませんが5αリダクターゼ阻害薬が使用出来る場合はこれを優先して使用すべきでしょう。
円形脱毛症の治療
円形脱毛症には多くの治療方法がありますが、決定的に優れた治療方法がなく数種類の治療方法を組み合わせて治療を行います。
その中でも骨格とされる治療は『ステロイド外用薬』、『ステロイド皮下注射』、『局所免疫療法』の3つとなります。
それに併用して使われるのがセファランチン、ミノキシジル、抗ヒスタミン薬、塩化カルプロニウム、グリチルリチン、ステロイドの内服療法です。
その他には冷却療法や紫外線療法、赤外線療法などがあります。
難治性の場合はステロイドの静脈注射によるパルス療法もあります。
駅前AGAクリニックではこの骨格となる部分の治療方法として『メソセラピー局所免疫療法』を行っております。
これは当院が開発した治療方法ですがかなり良好な成績を収めています。
骨格となる従来の3つの治療方法に代わる4つ目の治療方法として今後の円形脱毛症の治療方法に『メソセラピー局所免疫療法』が革命を起こすのでは期待しています。
AGAの頻度
AGAにどれだけの方が罹患しているのでしょうか。
初期のものも含めますと30代ですでに60%もの方がAGAです。
ハミルトン・ノーウッド分類Ⅲ以上の中等度以上でも40%近くの患者さんがいます。
加齢と共に増えていき最終的にはほとんどの方がAGAになってしまいます。
円形脱毛症の頻度
500人に一人程度が円形脱毛症だと言われています。
そして、生涯を通して円形脱毛症になる方は50人に一人程度と考えられます。
AGAの次に多い脱毛症です。
AGAの予後
AGAやFAGAは必ず進行します。
進行性という恐ろしい特徴を持っているのです。
そして、AGAは老人の象徴でもありますのでAGAそのものの印象が悪いのです。
一度AGAになった場合は治療しないと毛量の増加は期待できません。
治療はヘアサイクルを正常化する薬剤を使うので毛髪を諦めるまでずっと薬剤を内服しなければなりません。
これはかなりの精神的なダメージとなります。
また、毛母細胞がすでにいなくなってしまった場合は不治の病となってしまいます。
円形脱毛症の予後
円形脱毛症の中でも一番良性とされる合併症のない単発型であれば80%は1年以内に自然治癒すると言われています。
しかし、これだけ良性なタイプであっても20%は1年以上継続してしまうのです。
円形脱毛症全体としても5割以上は1年以上持続します。
その中で14%~25%は全頭型や汎発型へ移行し、その場合には回復率は10%以下になると考えられています。
脱毛面積で分類すると脱毛症面積が25%未満では68%が回復し、50%未満では32%が回復し、50%以上では8%が回復することになります。
以上のように無治療であれば不治の病となってしまうAGAと比較すると円形脱毛症は治る可能性が高いとも考えられます。
そのため患者さんに悲壮感が少ないのかもしれません。
しかし実際には円形脱毛症の予後は一般的に思われているより悪いのです。
そして、難治性になってしまうと完治させるのは至難の業です。
医師が円形脱毛症を恐れる理由とは??
医師がAGAより円形脱毛症を怖がる理由としてはAGAのように効果的な治療方法がないからだと思われます。
そしてAGAと違い加齢と共に円形脱毛症の患者さんが増加するわけでもないのでなかなか患者さんも諦める事が出来ません。
円形脱毛症の平均発症年齢は33歳と比較的若い内に発症します。
患者さんも美容的に気を使っている年齢でもあります。
医師としては治せない恐怖があるのです。
しかし、実際には患者さんはAGAの方が辛いのだということを医師も認識していく必要があります。
私達、駅前AGAクリニックでは円形脱毛症の治療も積極的に行っております。
そして、AGAやFAGA(女性の薄毛)の治療も同様に積極的に行っております。
その他、産後の脱毛症や化学療法による脱毛症、抜毛症など毛髪に関する問題全てに真摯に向き合っております。
他院で治療が出来なかったとしても諦めないで一度当院にご相談頂ければと思います。
駅前AGAクリニックは全国に4院あります。
東京の新宿、大阪の梅田、京都の烏丸、岡山の駅前の便利な場所に位置しております。
完全予約制となっております。是非お気軽にお問い合わせください。